2016年12月23日金曜日

回想 沖縄・冬の旅(12月13日・前編) 【南大東島周遊・南大東空港探訪編】


2016年12月13日 南大東島の朝、おはようございます。

昨夜は雨音も聞こえてた記憶。
空模様がぐずついていたら今日は二度寝を…と思って朝6時に外を見るとお星さまが見えてるよ。

となれば、またまたやります島旅恒例日の出ツアー
宿を出てサトウキビが飛び出している薄暗い道を進む。


海軍棒プールに到着。
この時間まだ潮位が高くてプールは水没。ここもあとでまた来ようね。

海軍棒プールはまだ海の中

日の出時刻は6時52分だが…ちょっと雲が多くて見えないね。
まあこんな朝もあるんだよ。

6時52分すぎ、写真中央部には太陽がいる…ハズ


日の出時刻から遅れる事9分後、おはよう太陽。

ホテルに戻って朝食を頂き、屋上から南大東島を見る。
ほほうこんなところにNHKの定点カメラ。台風シーズンに活躍するのかな。




荷物をまとめてチェックアウト。フロントで荷物を預かってもらって(その辺に置いておいて)、午後の送迎時刻まで島内観光へ。


南大東島での観光は分刻み。北大東島とは異なり、スケジュールをこなすのがこの島の観光。
その訳…まずは南大東島地方気象台にあり。

南大東島地方気象台

この南大東島地方気象台では毎日8時30分と20時30分の計2回「高層気象観測(気球飛揚)」が行われている。いわゆるラジオゾンデの打ち上げだ。

ラジオゾンデによる高層気象観測 - 気象庁WEBサイト
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/upper/kaisetsu.html

事前に予約するとその放球のシーンを気象台職員の解説つきで見る事が出来る見学会が行われ、私も前日に電話で予約しておいた。見学できるのは平日の朝のみ。

気象台見学・資料閲覧 - 南大東島地方気象台WEBサイト
http://www.jma-net.go.jp/daitou/station/kengakueturan.htm

集合時刻の8時20分、気象台の入口では気象観測ニャンが出迎えてくれた。

南大東島地方気象台の猫

猫を捨てるな。猫を買わずに猫を飼え。

エントランスには気象観測の資料展示コーナー

気象台の職員とともに気象観測エリアへ。
放球の時刻まで気象観測装置についてひととおり解説していただく。

地上気象観測装置群

ウィンドプロファイラ
高層の風を調べる装置

生物季節観測用標本「テッポウユリ」
春になるとこの辺に生えてくるのだとか

自動放球装置(ABL:Automatic Balloon Launcher)
時間になるとラジオゾンデが自動的に放球される

ラジオゾンデの解説
左がラジオゾンデ本体、右がゴム気球

ラジオゾンデ本体
各種計測機器やGPSが内臓されていて
高度約30kmまでの気圧・気温・湿度・風向・風速を観測する

ラジオゾンデからのデータは
自動放球装置にあるこちらのアンテナで受信される

天然ゴムで出来た風船には水素ガスが使われる。
以前は本島から運んできていたそうだが、輸送コスト削減のため現在は水の電気分解により水素を生成しているとの事。

そのほか…





  • 打ち上げは毎日8時30分と20時30分の計2回。UTCの0時にあわせて世界中で行われる
  • 暴風警報などが発令されている場合は打ち上げを中止する場合がある
  • 機器の故障等があった場合は改めて打ち上げる場合がある
  • 日本各地の17か所(出典:気象庁WEBサイト)で行われ、南極の昭和基地でも行われている
  • 南大東島では自動放球だが、人の手によって放球している気象台もある


  • 飛び入りの見学者も2名ほど集まってきてその時を待つ。概ね8時31分ぐらいにラジオゾンデが飛び出すそう。

    アッ、間もなく8時31分になるよ。

    パカっと蓋が開いて…

    ラジオゾンデ放球!


    空高く飛んでいくラジオゾンデ
    観測所のすぐ隣にもサトウキビ畑がある

    以上で見学は終了。

    気象台ってなんだか近寄りがたい雰囲気があるけど、全国各地の地方気象台では結構見学を受けてくれる。興味のある方はぜひ問い合わせてみてね。

    職員の方にご挨拶して次なる目的地へ。

    サトウキビ畑の迷路に迷い込む…
    すぐお隣のハズなのに

    迷ってお隣に到着、ふるさと文化センターの「シュガートレイン」

    ここ南大東島では製糖業が今も盛んだが、以前は島内に線路が敷設され、サトウキビなどを運搬する「シュガートレイン」が走っていた。

    現在ではすべて廃線となっているが、当時活躍した機関車がこの「ふるさと文化センター」に静態保存されている。島内には線路跡も残っていて、これらは近代化産業遺産にも選ばれている。

    そういえば、以前の沖縄旅行で那覇・壷川公園のシュガートレインを訪問してたね。
    http://whitewing681.blogspot.jp/2014/12/oka13dec.html



    蒸気機関車2号機



    ディーゼル機関車8号機



    続いて星野洞へ。

    この南大東島の地下には数多くの鍾乳洞が存在。
    そんな鍾乳洞を見るべくこの星野洞へ。星野さんの土地にあるから星野洞なんだそうな。

    星野洞は原則として予約制。
    平日は役場が管理していでシュガートレイン前から電話で申込み。いまからすぐに来てもらってもOKですって。
    観光客の少ない離島では、このような予約制の施設も少なくない。


    星野洞
    http://vill.minamidaito.okinawa.jp/cape/

    受付で入場料を支払い、ガイドシステムを携帯していざ鍾乳洞へ。




    無数の鍾乳石があちこちから
    100年で1cm伸びると言われている

    じゃあこのデッカイ柱は何年前から成長してるのよ


    鍾乳洞の一番奥深いところに、泡盛の瓶が多数置かれている。
    これはこの島の中学生が卒業して本島の高校に進学するときここに収めていき、成人式のときに家族で開けて飲むのだそう。
    気温の変化がない鍾乳洞内は、泡盛の熟成には絶好の環境なのだとか。

    洞窟内に保管されている泡盛の瓶

    ガイドシステムの音声を聴きながら約30分の地下探検。アップダウンがあるけれど、ちゃんとした階段と手すりがあるので安心。

    地上に戻って引き続き島を探検。

    大池展望台



    再び時計とにらめっこ。
    那覇からの午前の定期便の時間が迫る。


    続いて訪れたのがこの電柱…じゃなくって大事な航空保安施設
    「大阪航空局 南大東対空通信局舎(南大東RCAG/RAG局舎)」に到着。

    これは北大東空港・南大東空港の管制通信「大東リモート」の送受信アンテナと、那覇コントロールのセクター通信用送受信アンテナがそれぞれ設置されている。

    滑走路探検隊としては外せない島の観光(?)地だ。

    大阪航空局 南大東耐空通信局舎




    となれば、次の目的地はもちろんアレ。
    皆さんご存知「南大東VOR/DME(MDE)」だ。

    南大東VOR/DME(MDE)

    「やっと逢えたねMDE!逢えないかと思ってた…」

    実はこの南大東VOR/DMEは平成29年度以降の縮退対象施設、つまり廃止されることが検討されているVOR/DMEだ。

    航空機の航行には欠かせなかったVOR/DMEだが、現在両島の空港には旧来のVORには頼らないRNAV方式のアプローチやSIDが設定されており、また就航しているRACの最新機体DHC8-Q400CCはそのRNAV(GNSS)によるアプローチ運航にも既に対応済み。
    最新の航法システムの登場により、レガシーで維持コストのかかるVORは去りゆく運命なのだ。

    VORレドーム・DMEともに朱色のタイプ

    MDEのすぐ隣には南大東空港の滑走路

    サトウキビ畑の中にたたずむMDE
    沖縄の離島ならでは

    そして時刻は10時30分すぎ、那覇からのRAC861便到着に備えて空港周辺でスタンバイ。

    ここからは南大東空港撮影ガイドとして「南大東空港探訪」をお届け。

    まずは航空機の到着を外周から見るためまずはロケーションハンティング。

    この南大東空港の西側には、滑走路と平行するように道路が走っている。
    その道路と空港フェンスの間には草むらがあり、フェンス際まで容易にアクセスすることが可能だった。

    右奥が滑走路、左が平行する道路

    道路から草むらを進むとフェンスよりも高い場所に到達
    滑走路が綺麗に見渡せる

    先ほどの場所より北側にも草むらがあり同様にアクセス可能
    ターミナルのちょうど向かい側あたり

    南大東島にはハブがいないので安心して草むらに突入。でも側溝もあるし岩でゴツゴツしているので足元には十分注意してね。

    アッ!那覇からの便が南大東VOR/DME上空をヒットするのが見えたYO!

    那覇からの便が南大東VOR/DME上空をヒット

    再びMDE上にエントリーし北へ飛行
    VOR RWY20 アプローチの始まりだ

    861便はMDEを再びヒットして北へ飛行。
    南大東空港の滑走路20へ着陸するための「VOR RWY20 Approach」がスタート。
    今日は雲も多くIFRをキャンセルしなかったようだ。

    ROMD 130100Z 16010KT 9999 SCT015 FEW/// 25/// Q1013 RMK A2994

    一旦北大東島付近まで飛行してインバウンド

    着陸ぅー

    午前の便はDHC8-Q300


    対岸での撮影を終え、続いてターミナルへ。

    空港前の沿道には「さよなら」の石碑
    まだ帰りません

    空港内に建設している塔は…

    ABN(Aerodrome Beacon)
    飛行場灯台を建設中




    RACカウンター

    こちらにも懐かしい感じの出発案内表
    午後便のフライトパターン図が分かりやすい

    続いて展望デッキへ
    ここのデッキは2層構造

    最上階にも金網フェンスがなく眺め良好

    残念ながら柱が邪魔してアプローチする様子は見えない

    折り返しの那覇行862便の搭乗開始
    午前便は北大東島を経由せず、那覇-南大東の往復運航


    空港スタッフ全員が外に出て「いってらっしゃい」



    離陸滑走開始
    後ろに見えるのはサトウキビ畑と南大東VOR/DME


    午前便が離陸すると売店とレストランはお昼休みに

    のんびり空港探訪…なんてやってると時刻は12時前。ホテル送迎車出発まで2時間。
    もうここからは駆け足での早回り。飛行機なんて見てる場合じゃなかったカモ。

    空港すぐ南の、日の出で訪れた海軍棒プールを再び。

    海軍棒にある「天然記念物 南大東島東海岸植物群落」の碑
    この辺りには島特有の貴重な植物が群生している

    潮が引いてプールが見えてるよ


    岩陰でランチを食べるオヤジさん。

    「ああどうも、さっき気象台でお会いしましたね」
    ってドナタ?…ああ飛び入り見学の。ラジオゾンデに夢中であんまり覚えてない(汗)。

    「来月13人ぐらい連れて南北大東島を周るのでその下見を。午後からは北に向かいます」
    ということで、昨日までの北大東島の様子などをレクさせて頂く。

    …ってそんな時間ないのにぃー。


    島の南にある「日の丸山展望台」

    島を一望でき、眺めは最高
    でも時間は僅少

    亀池港

    亀池港には可倒式風力発電機が凄い勢いで回転
    台風対策のため、可倒式になっているのだろう

    塩屋海岸入口横にあるフロンティアロード
    廃線マニアならもうお気づき、シュガートレインの軌道跡だ

    昨日訪問時には水没していた塩屋海岸は…

    プールが姿を現していた
    閉じ込められた小魚が満潮を待っている

    サトウキビ畑にはカボチャが植えられている

    この島の畑でも、北大東島と同じくサトウキビ畑にカボチャが栽培されている。

    星野洞のスタッフに聞いた話では、以前北大東同様ジャガイモ栽培もやっていたそうだが品質の維持が難しいとかでいまはほとんど行っていないそう。

    西港の岸壁ではみなさん釣りに夢中

    西港では昨日出会ったサラリーマンのお二人がお仕事を終えて釣りに夢中。

    「さっきまでウミガメがいましたヨ…あ、ほら!」
    と息継ぎにあがってきたウミガメ再び発見!カメラに手を伸ばしている間にポチャンとまた海の中へ。ウミガメは撮るより見る、が正解だ。

    今日は午後の便で北大東に向かい釣り…じゃなくってお仕事だそう。
    では後ほど空港で。

    八丈島からの開拓団が西側から上陸したことを記す「上陸記念碑」
    西港へつづく道沿いにある

    島の北側にある南大東漁港
    北大東島では建設中であったように、こちらも「岩盤掘り込み方式」で建設された港湾施設だ。

    南大東漁港
    暴風をしのぐことが出来るため、安定的な操業ができる

    漁港脇の石碑
    「大東島や海ぬ幸豊富 海人ぬ業や永久に栄てい」

    次の目的地へ向かっていると、ちょうどサトウキビのキビ刈り作業中
    巨大な刈取マシーン・ハーベスタがキビを刈り取り葉と茎を選別、切断されたサトウキビがトラックに放り込まれる。



    そして冒頭でも紹介したシュガートレインの廃線跡が島内数か所に今も残されている。私が通った道にもひと目でそれと分かるように残されていた。

    南大東島のシュガートレイン軌道跡



    そしてこの南大東島には滑走路探検隊として外せない場所がもう一か所ある。それがこの「旧・南大東空港跡地」だ。

    1997年に現在の南大東空港が完成し移転。この旧空港ターミナルはその後サトウキビが原料のラム酒を作る「株式会社グレイスラム」が本社工場として利用している。

    株式会社グレイスラム
    http://www.rum.co.jp/

    旧・南大東空港ターミナル
    現・グレイスラム社本社工場


    中に入ると旧空港時代の看板やらがそのまんま。残っているというよりも、あえて残しているという感じかな。
    ここでは工場直売所としてラム酒の販売も行われていて御土産に2本購入。お願いして屋内も撮影させていただいた。
    みんなもお酒買ってから見せてもらおうね。

    南西航空の看板が今も残っている


    DHC-6「ツインオッター」の座席表

    滞在3日目の那覇基地JTAブースでお話を伺った機長さん、初めて乗務した機体はツインオッターだったそう。
    「今日これから北大東へ?私もツインオッターでよく行きましたねぇ。」と、当時の話を聞かせて頂いた。


    展望デッキだったと思われる屋上へも昇れます

    僅かに残る滑走路跡
    奥に見えるのは滑走路跡地に建てられた集合住宅

    滑走路の写真をツイートすると隊長から「MD跡地は?」ってリプライ。
    えぇーNDB跡地まで調べてないわぁー。隊員失格、上には上がいるもんだ。


    水道塔

    南大東島の消防車・救急車
    休んでいるのは、平穏な証拠

    空港送迎車出発まであと40分。
    宿に戻って車を返し、遅めのランチ。

    こちらも南大東島名物、ホテルすぐ前の「大東そば」のお店へ。


    元々はここにあった「いさ食堂」発祥のそば。現在はその跡地に開業した食堂で食べることが出来る。
    那覇市内の製麺所直営店から麺が空輸されているという、逆輸入的なそばらしい(出典:wikipedia)。


    お店のおばあに昨日たくさん頂いたシークヮーサーをお裾分け。店の裏にもシークヮーサーが生っているそうで「これは甘いね」とおばあ。


    14時20分、送迎車に乗り込んでホテルを出発し、空港に向かう。

    旅もいよいよ終盤、南大東島から北大東島・那覇・セントレアを経由して我が故郷富山までの大移動の始まりだ。

    ホテル吉里の送迎車で空港へ
    2日間お世話になりました

    (12月13日・後編に続く)
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