2016年12月21日水曜日

回想 沖縄・冬の旅(12月12日・後編) 【日本最短定期航空路線「北大東-南大東」搭乗ルポ 南大東島到着編】




ハマユウ荘の送迎車で北大東空港到着。

まずは北大東空港撮影ガイドとして「北大東空港探訪」から。



謎のモニュメントが迎えてくれる

消防車庫は新たに建築中



自動チェックイン機なんて無いのよ

なんだか懐かしい感じの時刻案内版

沖縄最東端のクリスマスツリー&リースがここに



荷物を預けて、朝日を見た展望デッキへ。
入り口階段は屋外にあり、もちろん入場無料。




コンクリートフェンスは低く、滑走路中央部と駐機場の眺めは良好
写真右奥の一部エリアには金網フェンスを設置

この真下から搭乗客が出入りする
このエリアは言うなら「お見送り・お出迎え専用デッキ」かな

撮影穴はナシ

滑走路の両脇が小高い丘になっているためアプローチや離着陸の瞬間は見られない
着陸した航空機が突然目の前に現れる

ちなみに空港の南側には道路からすぐのところに滑走路が一望できるエリアがある
徒歩でもアクセス可能だが距離があるため「ここで撮ってその機材に乗る」ってのは無理

空港・滑走路外周の撮影ポイントとしては
  • ターミナル展望デッキ
  • 滑走路03エンド周辺
ぐらいかと。

もちろん島の道路などからもアプローチする機影は見えるとは思うのでいろんな場所から狙ってみてね。
でも北大東空港への定期便は1日1往復しかないので、着陸・離陸をシッカリと撮るためには最低でも2泊しないと無理。

搭乗機が那覇から到着
昨日と同じJA82RC






カーゴコンビの貨物室ドアが開いて…

荷物を取り下ろしてトラックへ



展望デッキを降りて保安検査場へ。

他の空港だと突っ立ってるだけのおまわりさんが、ここでは空港職員と一緒になって保安検査のお手伝い。
「ここでは力になれることは何でもやるんですヨ」と頼もしい島の駐在さん。



さあ、いよいよ国内最短定期航空路線「北大東-南大東」に搭乗。
IATA区間マイルは8マイル。これまでのDHC8-Q100であれば、条件が整えばわずか3分のフライトとなる事もあったとか。※

ここで両島と空港の位置関係をおさらい。

北大東島と南大東島の位置関係

北大東空港は島の東側に位置し、滑走路03と滑走路21

南大東空港も島の東側に位置し、滑走路02と滑走路20

最短飛行経路となるための、私が思いつく飛行条件は以下の2つ
  • その1 「VMC(有視界気象状態)であること&IFR(計器飛行方式)を地上でキャンセルして出発すること」
  • その2 「北大東空港から南大東島空港へ向かう場合、南風またはクロスウインドの風であること」
両空港はノンレーダー空港であるため、通常であれば北大東空港を離陸後、SID「SOUTH SIX DEPARTURE」を使用してまずは南大東VORDME(MDE)へ飛行、その後VORアプローチを行うのが一般的なIFR飛行になるものと思われる。

しかし最短距離で飛行するためには「IFRのキャンセルを行い、VFR(有視界飛行)で行きます」と宣言して出発承認を受領しなければならない。


と、搭乗開始前に私の思惑通り「IFRのキャンセル」が管制機関に対して行われた。まず1つ目の条件は整ったヨ。

北大東空港発-南大東空港着の場合、最も短くなる飛行パターンは
滑走路21から離陸して滑走路20に着陸する場合だが…

続いて2つ目の条件、使用滑走路を決める最大の要素は風だ。
ここで両空港の15時の風をスマホでチェック。

RORK 120600Z 13014KT 9999 SCT036 BKN/// 24/// Q1017 RMK A3004
(北大東空港 130度方向から14ノットの風)
ROMD 120600Z 11009KT 9999 SCT035 FEW/// 23/// Q1017 RMK A3004
(南大東空港 110度方向から9ノットの風)

風向きとしては、滑走路のほぼ真横から風を受けるクロスウインド。これだと可能性はあるのかも…

12/12 RAC836 KTD-MMD DHC8-Q400CC JA82RC


そしていよいよRAC836便に搭乗!

CAさんに「この日本最短定期航空路線乗るのが楽しみだったんですぅ」とご挨拶。
「そうですか!これが日本で一番短い定期路線ですヨ!6分間の空の旅、お楽しみくださいね!」

6分?スポットからスポットまでかなぁ…それとも使用滑走路が逆かなぁ…(嫌な予感)


機内アナウンスでも「6分」
島の人と思われる周囲の乗客からも「6分?今日は長いね」なんて聞こえてくる。

これは最短にはならないのかなぁ…。※

北大東空港の滑走路21から離陸

しばらく洋上を飛行、南大東空港・滑走路02のレフトベースに入ってる?
うーむ、ポートサイドに座るべきだったか… 

しばらくして南大東島の陸地が見えて…

南大東空港の滑走路02に着陸



離陸時刻15時29分着陸時刻15時35分。ちょうどピッタリ6分間
残念ながら「3分フライト」は叶わなかったが※、わすか6分の定期航空路ってやっぱりスゴイよね。


そしてもちろんやりますGPS航跡紹介
先述のとおりFlightradar24のFeederがいないため、航跡を見られるのは貴重。

12/12 RAC836 KTD-MMD DHC8-Q400CC JA82RC
綺麗なトラフィックパターンだ

北大東空港離陸を3Dで見る
Cancel IFR On Groundを実施して北大東空港の滑走路21から離陸
離陸後すぐに南大東空港・滑走路02のトラフィックパターンを目指す

約1300フィート前後を飛行しながら滑走路02のレフトダウンウインドへ
島の南側でレフトベースに入る

南大東空港の滑走路03へ着陸
美しい飛行航跡を記録することが出来た

CAさんにご挨拶して降機。明日もまたこの逆を飛びますのでそのときに再トライ…

(※実は翌日判明したのだが、この琉球エアーコミューター新型機「DHC8-Q400CC」では最短フライトは行えないとの事。このハナシは南大東島からの帰路フライト編でご紹介中)




ホテルの送迎車には私ともう一人の観光客の計2名が乗り込んで出発進行。
南大東島を代表する宿「ホテル吉里」へ向かう。

同乗の観光客は折りたたみ自転車を持参しての来島。「いろんな土地や島を自転車で周ってるんです」との事。お互い満喫しましょうね。



部屋に荷物を投げ込んで早速島内観光へ。

ホテルのフロントでレンタバイクを借り…あら事情により取扱中止ですって。「近所のレンタバイクショップに電話してみたら?」との事でTELするも…あららバイクも車も全部貸し出し中。

とりあえずホテルにある最後の乗用車1台を押さえてもらって事なきを得る。
「たぶん借りられるだろう」と予約せずに油断してしまった。「たぶん・だろう」な考えは旅でもやっぱり危険、危機管理の鉄則ネ。
※この辺の離島旅行手配ガイドは総括編をご参照ください。


クールな車で島内観光に出発。まず目指すは塩屋海岸プール
北大東島同様この島にも砂浜はない。そのため岩をくりぬいて作った天然海水の人工プールが北大東島にもあったように、この島にも何か所か存在する。

塩屋海岸プールは…満潮で水没
明日また来ようね

海岸線周回道路には琉球松の並木

南大東島の「西港」

西港では沖縄本島から出張で南大東島に来たというサラリーマン2名が釣りの真っ最中。マイ釣竿を持ち込んで大物を狙っている。ええっと仕事で来島って、もはや釣りのほうがお仕事っぽい。

「あ、ウミガメがいますよー」

おーほんとだすぐにカメラ…と取り出す間に逃げられる。
沖縄の海ではこんな感じでウミガメに出会うことがある。以前にも多良間島で1度見たハズ。


時計を見ると17時。日の入りは17時25分。今日の日の入りはその名も夕日の広場で見ることに。車で向かうと先客が1名。

そういえば、北大東島では観光ポイントなどで他の観光客と一緒になったことが1度もなかった。まさに観光地一人占め。ここ南大東島に来て初めて他の観光客と一緒に。

やっぱり北大東島と比べて、南大東島のほうが人気なのかもなぁ…。



海岸線には雲もあって、日の入りの瞬間は拝めず。
でもいい夕景に出会えたよ。

さよなら太陽、また明日。

宿への帰り道、キビ刈りの仕事の真っ最中
南大東島も大型機械で収穫する

ホテルに戻ってシャワって夕食へ。

北大東島では2食付としたが、この南大東島では1泊朝食付きに。
ここ南大東島は先ほどの北大東島とは異なり、飲食店や飲み屋などが多く、観光客も飲食には不自由しない島。すぐお隣の島なれど、来島早々いろいろ違いが見えてくる。


何処へ行くかというと…こちらも南大東島ファンならご存知「割烹 喜作」へ。

入店すると…常連さんが4名カウンターで泡盛を飲んでいる。座敷やテーブル席もあるが、私も並んでカウンターに。

「兄さん何か注文する?」と常連Aさん。

「メニューはありますか?」
ママさん「今日はないんです。何かあるもので作りますよ…」
「じゃあとりあえずビールと、あとはお任せで」
ママさん「まだビール樽が届いてないのよね。ちょっと電話するわ…」
「ぜんぜん急ぎませんから、ご心配なく」

と、こんなペースで進むお店。そーいや暖簾も店内に置かれたまま。
しばらくしてビール樽と同時にマスターが到着。…と思ったらマスターも常連さんと私の間に座ってカンパーイ。
方言すぎてよく分からないが、ママさんが怒っているのはなんとなく分かる…(汗


マスター「観光ですか?どちらから…富山?薬売りに来た?」ってまたまた富山の薬売り。
常連Bさんから「シークヮーサー食べる?」と、ゴロゴロとたくさん頂く。

甘くておいしいシークヮーサーを肴にビールを飲んでいると、お任せの「サワラとマグロのお刺身」が登場。
ここ南大東島には高波対策がされた岩盤掘り込み式の漁港があり、安定的に魚が入ってくるそう。これも島で捕れた魚だそうだ。

サワラとマグロのお刺身
常連さんのシークヮーサーも頂いてマス


常連Bさん「兄さんメニューないって言われてサ、俺怒って帰るかと思ったよ」
「ぜんぜん気にしませんよ。時間ならいくらでもありますから。南大東島と言ったら喜作さん行かないと…」
マスター「今では周りにたくさんお店が増えたでしょ。だから今はほとんど常連の為に開けてるような感じなんだわ…」

常連Bさんは若い頃に富山へ出稼ぎに来ていたそうで、その頃のお話で盛り上がる。マスターとママさんも北陸へ旅行に出かけたことがあるそう。島の話やお店の話など、いろいろ聞かせて頂いた。

マスターは終始上機嫌で何度も乾杯を求めてくる。
「富山から来てくれるなんて嬉しいナァ」


「今日は大東寿司できますか?」
マスター「(泡盛飲みながら)今日出来る?」
ママさん「出来るよ」

と、念願の大東寿司を注文。

大東寿司はこの喜作が元祖の寿司で、元は昔・八丈島地方からの開拓民が持ち込んだ島寿司の流れを汲む島の名物寿司。ヅケにしたサワラで握る。
那覇空港で売られている「大東寿司」はマスターのご兄弟が那覇で製造しているそうで、サワラもこの南大東島から送っているそう。「最近は勝手大東寿司もアチコチで作っててなんだかなぁ…」との事だった。

念願の大東寿司を本場の喜作さんで

「那覇空港の大東寿司は食べた事ありますよ」
マスター「空港内で大東寿司を売れるようになるまで大変だったんだよ。空港所長をここまで呼んで食べて貰ったりさ…」


と、ここで漁師でもある常連Cさんが「ダルマ食べてみたら?」とこれまた貴重なお誘い!

ダルマとは、インガンダルマ(バラムツ)の事。
美味なんだけど脂が消化されにくいという幻の魚。

…おやおや、いうほど脂っこくなく、思ってたよりもクセもなく美味しい。マスターのアドバイスに従って1切れ目は醤油で、2切れ目は酢醤油で。
調子に乗ってダルマを食べ過ぎたら消化出来ない脂が翌日…オットット。あとはご想像にお任せ。

こちらも念願のインガンダルマを頂く

気が付いたら入店から2時間。
飛び込みな観光客にもかかわらず常連さんをはじめみなさん温かく迎えて頂いて満足満腹。
マスターも常連さんもカラオケ店に行っちゃったので、この辺でお勘定。ママさんありがとうございました。


ホテルに戻って目覚ましをセット。
もちろん明日も早起きしてアレですよ。


(12月13日・前編につづく)
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