2013年9月20日金曜日

JAXAの飛行実験機「飛翔」が能登空港にやってきた! - 迫力のローパス!その実験飛行をレポート

「能登空港にフクロウがやってきた!」

といっても鳥類のフクロウではなく、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が行うプロジェクト名
機体騒音低減技術飛行実証ミッション「FQUROH(フクロウ)」です。

FQUROHとは、Flight demonstration of QUiet technology to Reduce nOise from High-lift configurations」の略。
鳥のフクロウが音もなく獲物に向かって飛行する様子にちなんで、このプロジェクト名になったそう。

(プロジェクトの概要はJAXAのWEBサイトにあるPDFファイル内の記事を参照してください)
【PDF注意】 http://www.aero.jaxa.jp/publication/material/magazine/fp_pdf/fp_no01_10-11.pdf
【PDF注意】 http://www.jaxa.jp/pr/jaxas/pdf/jaxas051.pdf


要するに「航空機から出る騒音を減らそう」というプロジェクトのようです。
その実験の舞台として「能登空港」が選ばれました。

実験では、JAXAの実験機が空港上空でローアプローチローパスを繰り返すという飛行が行われます。
その主役となる航空機はJAXAの飛行実験機「飛翔(JA68CE)」
これは見たいぞぉ…


というわけで、さっそく能登空港にお出かけです。
18日朝の能登空港

9月18日朝7時すぎ、すでに現場では準備が始まっています。

9月16日から実験が行われる予定でしたが、台風の影響により17日に順延。
この日が実験開始2日目となります(17日はリハーサル?)。

今回この能登空港では、飛行機を低空で飛ばして実際に何処から騒音が出ているのかを調べ、また騒音測定・計測技術の精度向上が目的との事。
騒音を減らす工夫が施された航空機がいきなり飛ぶわけではありません(最初はそう思ってました…汗)。

飛行前点検中の「飛翔」

これが今回の実験に使用されるJAXAの飛行実験機「飛翔」。2012年にデビューしたばかりの新しい機体です。
Cessna Model 680 Citation Sovereignがベースの航空機で、常置場所は県営名古屋空港です。

昨年セントレアで行われた「2012国際航空宇宙展」以来2回目のご対面。
飛行する姿を見るのは今回が初めてです♪


駐機場の脇にある高台が観測本部
JAXA広報の方にご挨拶して、実験の流れを確認します。今日一日よろしくお願いします。

中央のテントで測定データの集計が行われる

そして滑走路脇に設置されたこの白いエリアが集音・測定ポイント。この特設ステージの上にマイクとそれを繋ぐケーブルがあります。

集音・測定ポイントにはマイクが約200本
航空機はこの上空を低空で飛行する予定

観察してみると中央から放射状にマイクを並べて、それらをケーブルで繋いである模様。
「ダーツの的」のようなイメージですかね。
飛行開始前には係員が棒の先から「発信音」を出して各マイクのテストを行っていました。


また航空機を地上から撮影するカメラもステージ正面に設置。カメラの映像のほか、地上・機上のGPSなどを使用して飛行位置を補正しているものと思われます。

観測本部付近に設置されたGPSの地上アンテナ
Differential-GPSのしくみを利用していると思われる

左から管制塔・観測本部観測ポイント・滑走路


「飛翔」のエンジンもスタートし、いよいよ飛行開始です。

それではまず、午前の実験フライトの様子を動画でどうぞ!
(動画には簡単にアノテーションを付けてあります。※携帯・タブレット端末等では表示されません)






- Flight Data -
Date: Sep 18, 2013
Airline: JAXA (Japan Aerospace Exploration Agency) 宇宙航空研究開発機構
Aircraft: Cessna Model 680 Citation Sovereign | Flying Test Bed 飛行実験機 "飛翔"
Registration No.: JA68CE
Runway: 07
Take-off: 0007Z
Low Approach: 13 times
Landing: 0138Z
METAR: RJNW 180000Z 07009KT 020V100 9999 FEW015 22/18 Q1022
RJNW 180100Z 06008KT 020V090 9999 FEW025 23/16 Q1022


約1時間30分にわたって行われた午前の実験フライトが終了。
とりあえず全ローアプローチ(ローパス)を撮影してみました。

今回は飛行の状態を中心に収録・編集。また動画も粗くカットしてポンポンと展開しています。(まともに収録するととんでもない長さになるので…)

映像で注目すべき点は「高度」・「速度」・「ランディングギアの有無」・「フラップの角度」・「降下状態」など。
いろいろ条件を変えながら飛行している様子が映像から(多少は)お分かりいただけるかと思います。
それら異なる条件において、どのような「騒音」が機体のどこから出ているのかを観測しているそう。
そしてローパス時の高度は60mから120mとの事。なかなかの迫力ですよ。

ランディングギアとフラップを出してローパス

今度はギアを収納した状態でローパス
様々な条件で飛行が行われた

トラフィックパターンは、滑走路07のライトダウンウインドへ入り、それを周回するというもの。
ダウンウインド周回時の高度は約2000ft前後な感じです。途中、航空学園の飛行などがあればダウンウインドでホールドしていました。

おおまかなトラフィックパターンはこんな感じ
実験飛行の合間には日本航空学園によるフライト実習も行われていた

午前はトータル13回のローアプローチを行って終了。お昼休みに。
その間にターミナルから状況観察です。

能登空港ターミナルビル兼、道の駅「能登空港」

ANAカウンターには「FINAL 747」のポスター
ちなみにB747は能登空港の滑走路には降りられませんよ

飛翔は2番スポットに駐機
後方の観測ステージでは報道向けの説明会を実施中


まもなく午後の実験飛行スタート。急いで昼飯を食べてカメラスタンバイ。
午前同様、展望公園で撮影します。

午後のフライトを前に、マイクのテスト中
試験音が展望公園まで聞こえてきます

それでは午後の実験フライトも動画でどうぞ







- Flight Data -
Date: Sep 18, 2013
Airline: JAXA (Japan Aerospace Exploration Agency) 宇宙航空研究開発機構
Aircraft: Cessna Model 680 Citation Sovereign | Flying Test Bed 飛行実験機 "飛翔"
Registration No.: JA68CE
Runway: 07
Take-off: 0427Z
Low Approach: 12 times
Landing: 0559Z
METAR: RJNW 180400Z 08008KT 050V120 9999 FEW025 SCT/// 25/14 Q1020
RJNW 180500Z 09006KT 030V140 9999 FEW025 SCT/// 25/15 Q1020


午後はトータル12回のローアプローチを実施して着陸。午後もとりあえず全て収録。疲れたぁ…。

ギアを出してローパスしたり… 

ギアなし・フラップ展開で飛行したり
午後も様々な飛行状態が確認できました

12回のローアプローチを行って、フルストップランディング


こんな感じで1日2セットのフライトが終了。
パイロットさんをはじめ、地上班の皆さんもお疲れ様でした。


撮影中に感じたことは、能登空港が持つ「静かな環境」
聞こえてくるのは航空学園のチャイムと、あとは虫の鳴き声ぐらい。本当に静かな空港です。
定期便などのトラフィックが少ないこともメリットですね(利用者としてはデメリットですが…)。

また「セスナ・サイテーション」の美しい飛行に惚れなおす。
これにウイングレットが付いてれば満点なんだけどなぁw

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今回の実験は、プロジェクトの準備段階

実験結果をもとに研究を重ね、今後は機体に騒音を抑えるしくみ・装置を取り付けての飛行試験が行われる計画ですが、それはまだまだ先の話。実用化まで長い年月が必要です。

そしてその成果が「MRJ」など今後開発・生産される国産旅客機の飛行騒音低減につながることを期待しています。


エンジンカバーが掛けられてお休みモードの「飛翔」と、ANAのJA62AN
翌日も頑張って!

以上、JAXAの飛翔による飛行実験レポートでした。

※2013年4月に行われたJAXA施設見学の様子はこちら
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