2014年10月30日木曜日

【速報】 12月より富山空港に「RNP AR進入方式」を設定 - 悪天候時の就航率アップに期待

以前からブログでもお伝えしていたとおり、待望の「RNP AR進入方式」が12月11日より富山空港に設定されることになりました。
またあわせてBasic RNP1をつかったSID/STARも設定されます。

8月に行われたJA001GによるRNP AR設定検証飛行
いよいよその飛行コースが発表された


新たに設定されるもの

  • UOZU ONE DEPARTURE (RNAV SID)
  • NANAO ARRIVAL (RNAV STAR)
  • MANYO ARRIVAL (RNAV STAR)
  • GENGE ARRIVAL (RNAV STAR)
  • RNAV(RNP) RWY02
  • RNAV(RNP) Y RWY20


名前が変更されるもの

  • RNAV(GNSS) RWY20 → RNAV(GNSS) Z RWY20


廃止されるもの

  • TOYAMA REVERSAL EIGHT DEPARTURE 
  • OYABE ARRIVAL


引き続き設定されるもの

  • IKUJI FIVE DEPARTURE
  • URUSI REVERSAL FOUR DEPARTURE
  • OHANA ARRIVAL
  • TOYAMA ARRIVAL
  • LOC Z RWY 20
  • LOC Y RWY 20
  • VOR A

それでは新たに設定されるチャートを見てみましょう。




※以下、俺用メモ・研究扱いで…けっして実飛行では使用しないでください。
※ブログ内で紹介した情報は執筆時点でのものです。

まずは注目のRNP AR進入方式は「RNAV(RNP) RWY02」「RNAV(RNP) Y RWY20」の2つが設定されます。
滑走路02へのRNP-ARが設定されるものと勝手に予想していましたが、なんと滑走路20にも同時に設定されることになりました。

まずは「RNAV(RNP) RWY02」を見てみましょう。

RNAV(RNP) RWY02

IFはお馴染みのMEDICに、FAFは新たに設定された「OWARA」。八尾の「おわら風の盆」から取った名前ですね。ただし、設定された地点は八尾ではなく富山市山田沼又周辺です。
RNP AR進入方式では、FAFを円弧上に設定できるため、このような経路での飛行が可能となりました。

RNAV(RNP) RWY02のコースを地図に合わせてみる
MEDICから射水市役所・太閤山ランドを進んでRF Legsに入る
RFの半径は2.87NM


なんといっても注目点はMINIMA
DA451となり、LOC Z RWY20でのサークリング実施時の(MDA)630から大幅にダウンしています。
またCMVもカテゴリD2000mと、LOC Z RWY20のサークリング実施時のVIS 3200mから大幅ダウン。CMVが適用できるようになったのも大きな利点です(但し滑走路02には進入灯なし)。


つづいて「RNAV(RNP) Y RWY20」を見てみましょう。

RNAV(RNP) Y RWY20

こちらもIFMEDICを起点。現在設定されている「RNAV(GNSS) RWY20」に類似しているのですが、こちらの注目点もMINIMA
DA370と、現在の「RNAV(GNSS) RWY20 (DA470)」「LOC Z RWY20 (MDA470)」と比べて、なんと100ftも下がっています。

これにより、ファイナル近辺に低い雲があったり、降雪などの悪天候に視程が悪かったとしても、着陸できる可能性が大幅にアップするものとおもわれます。


なお、現在設定されている「RNAV(GNSS) RWY20」は、このRNP-ARと区別するため「RNAV(GNSS) Z RWY20」と変更されます。
またMISSED APPROACH CourseTurn rightとなります。

RNAV(GNSS) Z RWY20
MISSED APPROACH Courseが変更となる

富山空港のローカライザー
衛星を利用した精密な進入方式の登場で、将来空港から姿を消す?


このいいことづくめなRNP-ARですが、残念ながらすべての航空機が利用できる訳ではありません

9月26日現在、富山空港に就航している国内線運航機材で利用できるのはANAの737-800/700と787のみ。これら機種の各機体が富山空港でのRNP-AR運航を申請した場合に利用可能となります。
残念ながらANAの他の機種(767やA320など)やエアドゥの各機種は9月現在「RNP AR APCH」を利用できません。

冬ダイヤの主力機種であるボーイング767や、エアドゥの737-500/700が利用できないのは、ちょっと残念な気もしますが…


また外国航空会社については所属国の認証によるため詳細な実施可否状況は不明です。提出されたフライトプランのセンサー種別で判断できると思われますが、中華航空・アシアナ航空・上海航空については実施できそうな気もします。ただこれは他の空港での実施状況や実際の運航が始まってみないと分かりません。



続いてこれらRNP-AR/RNP APCHに使用されるBasic PNP1RNAV SID/STARを見てみましょう。

NANAO ARRIVAL

このNANAO ARRIVALは言わば富山アライバルのBasic RNP1版といったところでしょうか。
IFもURUSIとなっていて、富山アライバルとそれほど変わりませんね。


MANYO ARRIVAL

MANYO ARRIVALはOYABEをIFとし、MEDICへと進むSTARです。主に西から到着する機体が使用します。
そして高岡市に新たに「MANYO」と呼ばれるWaypointが設定されました。名前は万葉集(高岡市は万葉のふるさとづくりに取り組んでいる)から来ているものと思われます。

これまで西からの到着便はTOYAMAアライバルか、OYABEアライバルを使用していましたが、OYABEアライバルが廃止となります。


GENGE ARRIVAL
GENGE ARRIVALは主に北方からの到着機が利用するSTAR。
HISUIとOHANAの間に「GENGE」ポイントが作られ、そこからNOVELを経由してMEDICへと進みます。
GENGEとは、富山湾で獲れる深海魚「ゲンゲ」から来ているものと思われます。(元来の意味は「下の下」という意味なんですが…)

なお、9月現在AIR DO機はBasic RNP1を取得していないので、12月までに取得が行われない場合、しばらくは幻のSTARとなりそうです。


UOZU ONE DEPARTURE

UOZU ONE DEPARTUREは現在設定されているIKUJI FIVE DEPARTUREのBasic RNP1版といったところでしょうか。
NT001からIKUJIへ直行できるようになっていますね。


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北風時に実施されるサークリングアプローチはパイロットごとに飛行コースが異なり、撮影者からすると迫力ある旋回が見られるのもここ富山空港の魅力でしたが、RNP AR進入方式のプロシージャーでは、滑走路02への着陸は周回進入とは呼べません。半径2.87NMの大きな円周上を進むため、いままでのサークリングアプローチのような大胆なコースどりとは程遠いものです。


以前ご紹介した熊本空港へのRNP ARの航跡をみてもわかるように、その飛行経路と高度はチャートで指定されたとおりのものとなります。
「今のは低かった!」など、一喜一憂することもなくなる感じですね。

熊本空港に設定されているRNAV(RNP) Y RWY25

8月12日 JL1813 熊本空港への航跡

こちらは7月26日 JL1813便の航跡
8月12日の航跡と比べても、見分けがつかないほどに同じコースを飛行している


RNP AR進入方式に対応するANAの787や737NGシリーズなどでも、今後すべての運航がRNP AR進入方式を使用する訳ではないと思いますが、場合によってはその機会が減る可能性もあり今後の運航方式に注目したいところです。

787による迫力のサークリングアプローチはもう見られなくなる?


以上、富山空港RNP AR進入方式設定のレポートでした。

※ブログ内で紹介した情報は執筆時点でのものです。
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2 件のコメント:

  1. 先日10/18のRNPAR初体験でただ今勉強中です(^^;) こちらが大変中身濃い教材になりました!
    ありがとうございます。 byKJ

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    1. KJさん、ブログ訪問ありがとうございます!稚拙な文章でお恥ずかしいです…。
      先日のRNP RWY02は悪条件下のモデルケースのようなフライトでしたね。
      執筆時からの変更として、RNP ARについて737NGについてはこれまでANA運航時のみ実施できましたが、現在ではANA Wings運航時でも使用できるよう許可を取得した模様です。運航会社ごと・空港ごとに事前の認可が必要な点もこの飛行方式の興味深い点ですね。

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