2015年で開港12周年を迎えた
能登空港(愛称:のと里山空港)。
その能登空港には無線着陸援助装置として
「能登ILS(LOC・DME・GP)」が設置されていますが、今年はこれらの設備更新が予定されています。
その設備更新を前にして、代替施設となるローカライザーの設置工事が能登空港で進められていました。
今回当チャンネルではその代替施設
「能登可搬型LOC25(ローカライザー)・能登可搬型LOC-DME25」の飛行検査の様子をキャッチ!
検査は国土交通省航空局・飛行検査センターの飛行検査航空機
「チェックスター3(JA003G)」によって実施されました。
まずはその検査の様子を
動画でご覧ください。
- Flight Data -
Date: Jun 10, 2015
Airline: 国土交通省 航空局 JCAB Japan Civil Aviation Bureau
Aircraft: Saab 2000
Registration No.: JA003G
Flight No.: VFR
Runway: 25
METAR:
RJNW 100200Z 19004KT 140V240 9999 FEW025 SCT030 23/17 Q1010
RJNW 100300Z 24004KT 9999 FEW030 SCT040 24/17 Q1010
検査は6月上旬に実施され、計3日間行われた模様です。
今回の動画では検査最終日に実施された3回の
「ローアプローチ」と着陸後の
「モニターアライメント」の様子を収録しています。
それでは動画を写真で振り返りましょう。
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能登空港の西側に設置されているローカライザー(右側・更新予定)と、代替ローカライザー(左側・検査対象施設) |
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検査対象の代替ローカライザー
左の局舎上部にはLOC-DMEのアンテナ(赤い棒)も見える |
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滑走路とローカライザーの間あるセオドライトを使って
地上検査官がチェックスターを誘導 |
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今回はSAAB 2000(JA003G)が検査を担当
この日1回目のローアプローチを実施 |
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続いて2回目のローアプローチ
右下に見える地上施設はILSを構成する「グライドスロープ(GP)」
このグライドスロープも更新対象施設だが、これの代替GPは設置しない |
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3回目のローアプローチ |
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検査対象のローカライザーは左側 |
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4回目のアプローチではそのままランディングし… |
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滑走路端に移動して約10分ほど停止
地上での「モニターアライメント」と呼ばれる検査を実施 |
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検査を終えてエプロンに駐機
機体上部・下部等には無数のアンテナ群
奥に見える2機の機体は日本航空学園のYS-11 |
動画内ではローアプローチとモニターアライメント測定の様子のみ収録していますが、今回の飛行検査ではこれ以外にも
「アークフライト」や
「レベルラン」なども実施されています。
(アークフライトとレベルランは映像化するのがちょっと難しい…)
- ローアプローチ
ローカライザーコースに向かって進入し、滑走路上を低空で飛行
- アークフライト
ローカライザーコースに直交して、一定高度を維持しつつ円弧状に飛行。数マイルから数十マイル先で行われます
- レベルラン
高度を一定に保ったまま、ローカライザーコース上を飛行
- モニターアライメント
滑走路末端に機体を停止させ、ローカライザーコースを左右に振り、地上側モニターの機能を検査
これらの飛行を繰り返しながら検査が行われます。
今回実施されたのは
「開局検査」。そんな開局検査の検査項目を
飛行検査業務処理規程より抜粋してみました(資料は古い可能性もあるので
参考としてください…)
開局検査
航空保安施設等または飛行方式等の運用開始に先立ち、当該航空保安施設等または飛行方式等が所要の要件を満たすことを確認するために行う検査を言う
ローカライザーの検査項目は以下のように記載されています。
識別符号
コースとクリアランスの出力比
変調度
変調均等性
フェージング
コース巾
クリアランス
ハイアングルクリアランス
アライメント
ストラクチャー
偏波効果
カバレージ
監視装置
1.コース巾及びクリアランス
2.アライメント
3.出力の減衰
予備装置
なんだかよく分からない難しい言葉が並んでいますが、ローカライザーに関わるすべての検査を実施するって事のようです(汗) このほかLOC-DMEの検査についてもあわせて行われた模様です。
そして検査終了から約1か月後の7月上旬には、
能登ILSの運用休止と代替措置の詳細が発表されました。
※そんな人いないとは思いますが、以下について実際の飛行では使用しないでください。
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代替LOCとLOC-DMEの一時運用詳細
ローカライザーコースはオフセット運用となる
備考欄には制限事項の記載がある |
休止期間は平成27年8月20日から11月11日まで、形態は0.62度のオフセットローカライザーとなります。
備考欄には
「Unusable beyond 8NM of the north sector between 020° and 035° from the center of LOC course」と記載されています。
「制限」が設定されていますので、もしかすると
「制限付合格」なのかもしれません。
(※制限付合格-検査項目の一部について、許容基準を満足しない場合であって、原則として航空情報の発出により周知される当該施設等の利用上の制限を設けることによって航行の安全が確保されると認められるとき-飛行検査業務処理規程より抜粋)
そしてローカライザーコースがオフセットとなりましたので、IFである
「NOPPY」とFAFである
「NONOC」が代替施設運用中は若干ズレることになります。
能登空港唯一のSTARである
GORYU ARRIVALについても一時変更が実施されます。
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位置通報点が一時変更となり、それに伴ってGORYU ARRIVALも一時変更となる |
着陸進入方式について、代替運用期間中は
「LOC Z RWY25」「LOC Y RWY25」が設定されます。
従来より設定されている
「ILS Z RWY25」「ILS Y RWY25」はILSを構成するグライドスロープが停波・更新されるため使用できません。
もちろん
「VOR RWY07/25」は能登ILSを使用しませんので、従来どおり利用できますヨ。
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代替運用中に使用される「LOC Z RWY25」
CAT1の項目がなくなり、着陸条件がこれまでよりも厳しくなる
この他にLOC Y RWY25も設定される |
CAT1での着陸が出来ませんので、DA200がMDH468となり、また視程もRVR/CMV550からカテゴリーDではRVR/CMV1600となります。
なお、2013年に富山空港で実施されたローカライザー更新では代替施設の設置が行われませんでしたので、飛行コースが独特な
「VOR-Aアプローチ」が連日実施されたため住民から問い合わせが相次ぎ、ニュース番組等でも取り上げられました。
能登空港の場合は飛行コースがほとんど変わりませんので、そのような騒ぎになることもないでしょう。
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能登空港開港以来初めてとなる能登ILSの更新を前に、貴重な検査シーンをキャッチすることが出来ました。
当チャンネルではこのほかにもこの国土交通省航空局・飛行検査センター所属の飛行検査機「チェックスター」の動画を公開しています。
再生リスト:[JCAB CheckStar] 航空局 飛行検査機 "チェックスター[whitewing681]
以上、能登空港・代替ローカライザー飛行検査レポートでした。