2016年12月25日日曜日

回想 沖縄・冬の旅(12月13日・後編) 【日本最短定期航空路線「南大東-北大東」の最長フライト(?)搭乗ルポ&帰路フライト編】

(回想 沖縄・冬の旅(12月13日・前編) 【南大東島周遊・南大東空港探訪編】はこちら)


宿の送迎車で南大東空港に到着。


早速チェックインし、南大東空港-北大東空港-那覇空港-中部国際空港と、乗り継ぎでのバゲージタグを発行してもらう。

手続きを済ませ、デッキに上がって搭乗機の到着を待つ。
あらら、お天気は下り坂っぽいよ。

JA81RCが那覇から到着

12月13日・午前編で紹介した午前の那覇便はVORアプローチで進入してきたが、この琉球エアーコミューターの最新機「Q400CC」RNP-APCHによる運航が可能。そのため当該機は南大東VOR/DMEを利用しない「RNAV(GNSS) RWY20」での着陸となった。




着陸すると、空港周辺には先ほどよりも雲がモコモコと出てきて何だか怪しい雲行き。この後荒れる予報らしい。

カウンターのお兄さんは「一応条件付きフライトになってまして、北大東空港に降りられない場合はそのまま那覇行になります。空模様を見る限り、ギリギリ大丈夫っぽいですけどねぇ…」って言ってたけど、さてどうなるやら。

離島の出発口には自動改札機などなく、概ねこんな感じ

この旅2度目国内最短定期航空路線「南大東-北大東」に搭乗。

12月12日・後編でも述べたとおり、最短になるための条件ってのがあるんだけど、今日はあいにくのお天気なのでVFR飛行はなさそう。

風をスマホでチェックすると…


RORK 130600Z 17018KT 9999 SCT015 SCT035 BKN/// 24/// Q1009 RMK A2980
(北大東空港 170度方向から14ノットの風)
ROMD 130600Z 18014KT 9999 SCT007 BKN045 24/// Q1009 RMK A2981
(南大東空港 180度方向から14ノットの風)

と、両空港とも南風が吹いている。
となると使用滑走路は南大東島が滑走路20、北大東島は滑走路21となるハズ。一番遠回りになる滑走路パターンかな。


と、ここで昨日のツイートに「Q400CCでは最短飛行となる3分フライトは出来なくなったそうですよ」とリプライが。
えーっマジすか?ならばクルーに直接確認してみよう。

12/13 RAC835 MMD-KTD DHC8-Q400CC JA81RC


搭乗機に乗り込むとCAさんが「あ!おかえりなさいませ!」
「えっ誰?」と思ったら昨日の北大東-南大東便に乗務されていたCAさん。

ちょうどよかった、降りる時にアノ件を聞こうね。

搭乗すると雨模様
IFRのキャンセルはなさそう


さよなら南大東島
また、逢いましょう

一旦海に出て…

再び南大東島上空へ
SID上のMDEをヒットしている

そして再び海に出て、再び南大東島上空
空港の西側を飛んでいるという事は…

…再び南大東VOR/DME(MDE)をヒット
VORアプローチで向かう模様

そしてVORアプローチで滑走路21を目指すって事は…
そう、サークリングアプローチ!

北大東島の北側海岸線が見えて…

北大東島空港・滑走路21に着陸

南から迫る雨雲

いやぁ長いフライトだったね。離陸から着陸まで約16分のフライト。
…待てよ、となると「日本最短定期航空路線を、最長飛行時間で飛んだ」ってことにはならないかい?


そして降機時にCAさんにアノ質問

「この南大東・北大東間の航空路線では天候条件が整っていれば最短3分のフライトがこれまで出来ていたと思うんですが、この最新機種ではそれが出来ないって本当ですか…?」

CA「実はそうなんです。これまでのDH1では出来たんですが、このDH4では運航上の都合により3分だと操縦に要する時間が短すぎるんです。」

「なるほど。でも今日の使用滑走路と飛行コースからすると、ある意味最短定期航空路線を最長飛行時間で飛んだ”って事じゃないっすかぁ?IFRのSIDで上がってVORアプローチしてサークリングして…」

CA「そうなんです!私もQ400CCによるこの飛行は初めてでした!」

なるほど納得!
ちゃんと飛行時間の説明があるように、CAさんもその経路をよくご理解されている。



さあお待ちかね、GPS航跡のご紹介。
今のフライトを振り返ってみようね。

12/13 RAC835 MMD-KTD DHC8-Q400CC JA81RC

キャー!なんと綺麗な航跡!
今回のIFRフライトをバッチリ記録できたヨ!

飛行経路
  1. 南大東空港・滑走路20から離陸
  2. MINAMIDAITO REVERSAL FOUR DEPARTURE
  3. MDE
  4. 北大東空港・VOR Z RWY03 then CIRCLE TO RWY21(周回進入)
  5. 北大東空港・滑走路21に着陸
という手順で進行。

それでは1つずつ見てみよう。

南大東空港を離陸後
MINAMIDAITO REVERSAL FOUR DEPARTUREでMDE上空へ

参考:MINAMIDAITO REVERSAL FOUR DEPARTURE
滑走路20で離陸した飛行機は1000フィートで左旋回してMDEへ向かうよう指示され、
MDEを2000フィート以上で通過するよう指定されている

MDEからは北大東空港へのアプローチ「VOR Z RWY03 Circle to RWY03」が開始
Teardrop procedureを飛行し再びMDEを目指す

「MDEを出発して方位038度を進むと滑走路03が見えてくるヨ」というのが北大東のVORアプローチ
風は南風なので、滑走路が見えたら周回進入(サークリングアプローチ)で滑走路21へ

参考:北大東空港 VOR Z RWY03アプローチチャート
赤丸はサークリング(周回進入)実施時のMINIMA

「Q400CCはRNAV(GNSS)アプローチが出来るから、最長飛行はその「RNAV(GNSS) RWY03」を使った時じゃないの?」なーんて考えてもみたが、CIRCLINGの場合のMINIMAはVORアプローチと変わらないため、あえてRNAVを選択する必要はないと思われる。

というわけで、南大東空港・滑走路20から北大東空港・滑走路21への最長飛行距離はこのパターンではないか、という私なりの結論。
でも縮退対象施設である南大東VOR/DMEが廃止になったらどうなるんだろうね。その頃にはRNAV(RNP) Approachが設定されるかな。

MINAMIDAITO REVERSAL FOUR DEPARTUREとTeardropを3Dで。
飛行高度を確認すると約2000フィートでクルーズしている

北大東のサークリングアプローチを3Dで。
3回海が見えた理由がよく分かる

ロビーで南大東島でお会いした釣り好きサラリーマンさんにご挨拶。北大東でもフィッシング楽しんでくださいね。
そして私を含め那覇へ向かう乗客はふたたび保安検査を受けて搭乗待合室内へ。

搭乗開始後、先ほどまで南大東で雨を降らせていた雲が北大東に到達している。
雨の中、私は傘もささずにQ400CCへ。

RORK 130700Z 17013KT 9999 RA SCT007 SCT030 BKN/// 23/// Q1008 RMKA2978=


12/13 RAC848 KTD-OKA DHC8-Q400CC JA81RC



さよならKITADAITO
また、逢いましょう


うっすらと見える南大東島
大東諸島よ、さようなら。また逢う日まで。


機内販売でRAC限定の機体マグネットを御土産に購入。
今乗っている「DHC8-Q400CC」と、尾翼にシーサーの描かれた「DHC8-100」の機体マグネットがセットになっている商品。

CA「(マグネットを見て)このDHC8-100も順次退役なんですよ。あの尾翼のシーサーが好きだったんですけど…」

「私もDHC8-100には離島の旅で何度もお世話になりましたヨ。あのシーサー引き継いでくれないかなぁ…」

でもQ400CC導入による機体の大型化・貨物室の拡大は、島の人たちにとっては大きなメリット。
最新の航法システム対応によって悪天候時の就航率も高まるしね。




 ROAH 130830Z 32013KT 9999 FEW025 23/17 Q1010 RMK 1CU025 A2983

那覇空港の格納庫地区には幻の3分フライトが出来たDHC8-100の姿
尾翼のシーサーは消されて退役する模様

北大東から南大東便のGPS航跡紹介。

12/13 RAC848 KTD-OKA DHC8-Q400CC JA81RC

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もちろんQ400CCはBasic RNP1運航が可能だ

BUICK手前で那覇の滑走路36へベクター

低い高度で糸満の海岸線をパス
Visual Approachだったと思われる

北大東空港出発を3Dで

那覇空港到着を3Dで
赤線は今回のRAC848便の航跡
青線は初日に搭乗したNU37便の航跡(ILS RWY36)
ファイナルではILSの飛行コースのわずかに東側を飛んでいる


バス降車場から乗り継ぎの案内に従ってJALターミナル出発フロアへ。
ANAターミナルまではエプロン沿いの連絡通路を進む。



既にセントレアへの搭乗機がスポット31に到着済み。

乗り継ぎ時間は「RAC→ANA」のMCT30分に対して今回は35分。
保安検査場でのタッチが済んでいない状態になっているので、カウンターで搭乗券を発券してもらいバゲージタグを再確認してもらう。

念の為旅行前にANAに連絡してPNRに乗継情報を入れてもらってたから一応安心ね。連帯運送契約のある航空会社同士なら荷物もスルーチェックインできる。これが対LCCだと出来ないのでMCTは適用にならないから要注意。


ROAH 130900Z 32015KT 9999 FEW025 23/17 Q1010 RMK 2CU025 A2984

12/13 NH308 OKA-NGO 767-300 JA8674



修学旅行生が後方エリアにどーんと座っているけど前方エリアには空席も目立ち、隣も空いているラグジュアリーフライト。

滑走路36から離陸後、嘉手納のALTITUDE RESTRICTIONで低空飛行。
夕焼けが綺麗だったけど、夜の機内は写り込みが激しくて写真が上手く撮れず退屈な時間。


このフライト、当初は特典航空券で発券しようと思っていたが、旅割55のお値段が9210円。マイル単価を加味してもマイルで発券するのは損と計算し、ANAには8年ぶりの公示運賃搭乗。

同区間にはANA・JTAのほかスカイマークやLCCも就航。
「LCCが安い」という事実というか思い込みもあるんだけど、意外とスカイマークが頑張っていて搭乗日間際でも6000円台で予約することが出来たようだ。受託手荷物がある場合だと、最安運賃はLCCのジェットスターよりもスカイマークのほうが安いという結果に。

今回はスケジュールの都合でANAだったが、いつかはスカイに乗ってみたいよネ。


最後もやりますGPS航跡紹介。

12/13 NH308 OKA-NGO 767-300 JA8674

EISAR TWO DEPARTURE KAFUU TRANSITIONをショートカットで進む

那覇コントロールからYULIAを貰って、中部のシーケンスへ

PROBEからはILS Z RWY36で着陸へ

那覇出発を3Dで。
離陸後1000フィートを維持して飛行するのは、嘉手納基地(オレンジ丸)のアプローチコースを避けるため



 RJGG 131030Z 35008KT 5000 -SHRA BR FEW004 BKN005 BKN013 09/08 Q1010 TEMPO 4000 -SHRA BR

セントレアのバゲージクレームではドアラがお出迎え

中部国際空港に到着。
今日中に帰れるよう、ここからはちょっと駆け足の鉄道旅。

まずは名鉄「ミュースカイ」で金山駅へ。
えっ、名鉄はクレジットカードで切符買えないの?

セントレアからミュースカイに乗車
これを逃すと金沢には0時を超えて到着になっちゃう

金山駅でJRに乗り換え
名鉄名古屋駅で乗り換えるよりもラクチンなのヨ

名古屋駅の新幹線ホームに駆け上がって…

N700Aで米原へ

米原からしらさぎ号に乗車、金沢へ

自由席は…5、6人かな。静かな車内で今回の旅の写真を眺めて過ごす。



5日間にも渡る長い沖縄の旅。
今回で20回目の沖縄訪問だったけど、まだまだ知らない沖縄があった。

「来てよかった。」

本当にそう思える旅だった。


振り返ってみれば、2016年も旅に恵まれた年だった。
1月の沖縄旅、5月には懸賞に当選してハワイにも行った。そして今回は長年の憧れだった大東諸島をようやく旅することが出来た。


2017年、次の旅ではどんな世界・どんな日本に出会えるかな。



(終)


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